

「その子らしさ」を育むまちへ
時代と共に家族のかたちは変わり、それぞれの家庭にはそれぞれの事情や背景があります。
しかし、どんな環境にあっても、子どもたちとその家族が安心して暮らせるように、私たち社会はしっかり寄り添う支援を届けていかなければなりません。
これからも、すべての子どもが「その子らしく」学び、成長できるように、家庭や子どもを支える施策を推進し、不登校の児童、起立性調節障害や医療的ケアが必要な子ども、発達に特性のある子ども(LD、ADHDなど)に対する支援の充実に力を尽くしていきます。
子育て支援
1.全年齢のこどもの保育料・副食費の無償化
① 所属する福祉文教委員会で「3歳未満児第1子」の保育料を無償化し、世帯所得等にかかわらず、全年齢の子どもの保育料を無償化するよう要請。
② 安部町長は「ふるさと納税の好調を受け、前倒しもあるが、令和10年度からの実施を目途に実施したい」との従来の方針を崩さないため、まずは、複雑な副食費免除の年収要件撤廃など、段階的な支援の実施を提案。
なお、現在、大分県内では半数の9市が、すでに、3歳未満第1子の保育料無償化を実施。
2.障害児、医療的ケア児とその家族の支援強化
① 残念ながら、令和7年度策定された「第3期子ども・子育て支援事業計画」には、障害児と医療的ケア児の支援の方向性は示されているものの、支援事業の実施計画がありません。認定こども園や幼稚園、学校などに対する看護体制・受け入れ体制の土台づくりのため、新たに「障害児、医療的ケア児支援施策推進計画」を策定し、具体的な取り組みを実施すべきだと思っています。
② 看護・介護の負担軽減 ため、「在宅レスパイト(休息)事業」の拡充。
③ 児童発達支援や放課後等デイサービスなどを担う関係機関と連携し、福祉サービスの質の向上と人材の育成・確保を支援。
3.屋内大型遊具を備えた子育て支援の拠点整備
現在、子育て世代からの強いニーズとして、天候や気温に左右されず、安心・安全に親子で過ごせる場所の確保が挙げられています。
特に近年の猛暑や異常気象の影響により、屋外での遊びが制限されるなか、屋内でも公園のように思い切り体を動かせる環境の整備は、子どもたちの健全な発育と保護者の育児ストレス軽減に資する重要な取り組みです。
そこで、以下のような内容を備えた大型屋内遊び場を併設した子育て拠点の整備を求めています。
- 滑り台・ジャングルジム・ボルダリング・トランポリン・大型ネット遊具など、室内にいながら屋外のように体を動かせる遊具の整備
- 授乳室・おむつ交換台・子どもトイレ・飲食スペースなど、保護者も安心して過ごせる設備の充実
- 年齢や障害の有無に関係なく楽しめるインクルーシブ遊具の導入
- 子どもたちの運動能力や創造力を高めるデジタル遊具や体験型コンテンツの活用
このような施設は、子育て家庭の生活の質を向上させるだけでなく、地域の少子化対策や移住定住促進にも有効であり、まちの魅力向上にもつながります。子育て支援の拠点として、また誰もが集える地域交流の場としての機能も期待されることから、今後の社会インフラとして積極的な整備を進めていくべきです。
4.子ども食堂の支援強化
子ども食堂と聞くと、「経済的に困っている家庭の支援」というイメージが強いかもしれません。
しかし今の子ども食堂は、それだけが目的ではありません。
一人で食事をする“孤食”を防いだり、放課後に安心して過ごせる場所をつくったり、地域の人とのつながりを育んだり――。
**すべての子どもが気軽に立ち寄れる「地域の居場所」**として広がっています。
一方で、子ども食堂はほとんどが地域のボランティアによって運営されており、全国共通の課題も抱えています。
会場の確保や運営費、食材の調達、運営スタッフの高齢化、食品衛生への配慮など、継続には多くの力が必要です。
さらに、補助金申請や年度末の書類作成といった事務手続きが複雑で、経験のないボランティアの方には大きな負担となっています。
日出町でも同じ課題があります。
町内では昨年度末に新たに1カ所が稼働し、現在は実質3カ所で活動が行われていますが、地域に偏りがあり、稼働の実態が十分に把握できていない場所(調査中)もあります。
「日出町第3期子ども・子育て支援事業計画」では、令和11年までに5カ所の設置を目標としていますが、現状のままでは達成が難しく、運営基盤の強化が不可欠です。
また、農林水産省による「備蓄米の無償交付制度」も手続きが簡素化されたものの、申請書類の作成や事業報告が依然として分かりにくく、町内の子ども食堂で申請した団体は今のところありません。
必要な支援が現場に届いていないのが現状です。私は、
- 日出町の5地区すべてに、最低1カ所の子ども食堂がある状態を目指すこと
- それぞれの子ども食堂が週1回の受け入れができる運営体制を整えること
- 町の補助金を拡充し、申請・報告書類をもっと簡単にすること
- 国・県の補助金や備蓄米無償交付制度などを丁寧に周知し、申請をサポートする“伴走支援”を行うこと
- 運営団体への補助や広報・マッチング支援を社会福祉協議会と一体で実施 する体制を整備
これらを日出町に強く要望し、あわせて、大分県や国に対しても、支援制度の申請・事後報告書類のさらなる簡素化を求めています。
地域みんなで子どもを見守り、支え合う仕組みをしっかり整えることで、子どもたちに安心できる「居場所」を未来へつないでいきます。
5.出産できる医療機関の誘致は急務
近年、少子化による分娩件数の減少に加え、産科医の不足や医療訴訟リスクの増加といった課題が重なり、全国的に「お産ができる医療機関」が減少傾向にあります。
日出町が属する東部医療圏(別府・日出・杵築・国東)でも例外ではなく、現在、出産に対応できる医療機関は3か所(別府医療センター、別府あおい産婦人科、杵築くりやまレディースクリニック)にまで減少しています。
そのため、妊婦さんやそのご家族にとっては「距離的な負担」や「緊急時の対応」など、心身の不安を抱えたまま出産を迎えるケースも増えています。
特に夜間や休日の急変対応を考えると、地域内で安全・安心に出産できる体制の確保は大きな課題であり、今後も、町内での出産が困難な状況が続けば、若い世代の定住・移住促進にも影響を及ぼしかねません。
日出町に出産できる医療機関を誘致することは、母子の命と健康を守るとともに、周産期医療体制を維持する上で、非常に重要な取り組みであると考え、今後も粘り強く、町に働きかけていきます。
5.放課後児童クラブの増設
実態調査中
安心安全な教育環境と教育の充実
1.不登校児童・生徒の健康診断助成
日出町の小中学校では年間、約3%の児童生徒が不登校などの理由により、学校での定期健康診断を受けることができていません。
こうした児童生徒が、学校外の医療機関で費用の負担なく、全診療科目を受診できるよう、保険適用のない健診費用の全額助成を求めています。
2.高校入試での「調査書の出欠欄」廃止を求める取り組み
2027年度入試(現在の中学2年生が受験)から、一部の公立高校で内申書(調査書)に記載されてきた“出欠席日数欄”を廃止する動きが広がっています。
これは、不登校の生徒やヤングケアラーなど、様々な事情を抱える子どもたちに配慮したもので、すでに19の都道府県がこの方針を示しています。
いま、学校外の学びが広がり、オンライン授業や教育支援センターなど、学習のかたちも環境も多様になっています。
出欠日数は、不登校だけでなく、家庭の事情や健康状態など、本人の努力だけではどうにもならない理由で左右されるケースも少なくありません。
こうした背景を踏まえ、不登校の生徒が「出欠が合否に影響するかもしれない」という不安を抱えずに進路選択ができるよう、日出町教育委員会に要望し、大分県教育委員会にも丁寧に働きかけていきます。
あわせて、評価対象となっている『行動の記録』や『総合所見』のあり方についても、子どもたち一人ひとりを正しく理解できる評価へと改善していけるよう、議論を進めてまいります。
3.学校の安全対策を再点検
令和7年5月、東京都立川市の小学校で、校舎2階の教室に男2人が侵入し、教員5人に対して暴力をふるい、骨折や打撲などのけがを負わせる事件が発生しました。
男たちは、保護者の関係者であることを理由に校内への立ち入りを許され、教室まで侵入したとされています。
このような事件は、決して特異なケースではありません。日出町の学校でも、同様の事件が発生する可能性は十分にあると私は考えています。
実際、平成30年には近隣の宇佐市で認定こども園への襲撃事件が起こり、大きな衝撃が走りました。
この事件を受け、日出町内の5つの小学校が比較的オープンな立地条件であることを踏まえ、防犯設備の充実が大きな課題であると指摘。私は早急な対策を要望しました。
今回の立川市の事件を教訓に、保護者等の来訪者への対応マニュアルの再確認をはじめ、防犯カメラや人感センサーの設置を再要請していきます。
また、防犯体制が手薄な各幼稚園についても、警察・消防・小学校職員室と直結する緊急通報装置の導入など、安全対策の抜本的な強化を引き続き求めていきます。
平成11年の京都府日野小学校、平成13年の大阪府池田小学校で発生した無差別襲撃事件の悲劇を繰り返さないために・・・。
4.学校のカスハラ対策ガイドライン
近年、学校では保護者からの相談が増える一方で、強い言動や長時間の要望など、教員が過度な負担を抱えるケースも全国で問題になっています。教員が安心して働けることは、子どもたちの安全と学びを守る上でとても大切です。
東京都では、面談時間を30分以内にしたり、やり取りを録音したり、必要に応じて弁護士が同席するなど、学校を守るための“カスハラ対策ガイドライン”づくりが始まっています。
そこで私は、次のような点について、日出町教育委員会としてガイドラインの検討を進めるべきと提案します。
日出町への政策提言
- 東京都の事例を参考に、面談時間・録音・複数対応・専門家同席・警察連携などのルール整備を進めること。
- 相談の受け止め方にばらつきが出ないよう、学校全体で統一的に運用できる仕組みを構築すること。
- 教員が安心して働けるよう、暴言などを受けた際の心のケア体制や相談窓口の設置を検討すること。
- PTAや保護者にもガイドラインの趣旨を説明し、互いの信頼関係を損なわない対話のルールづくりを進めること。
教員が安心して働くことは、結果的に「子どもたちの安全と学びの質」を守ることにつながります。
日出町でも、学校現場を支えるための新しい仕組みづくりに取り組むべきだと考えています。
5.防災・環境対応型で体育館のエアコン整備
防災の拠点でもある体育館は、子どもたちの学びの場であると同時に、地域住民の命を守る重要な施設でもあります。
特に、近年の厳しい猛暑による熱中症などの健康リスクを考えると、全国の先進事例を参考にしながら、計画的に断熱化や空調設備の導入を進める必要があります。
令和3年9月定例会の一般質問では、町内の小中学校5校と中央体育館・川崎体育館へのエアコン設置を取り上げましたが、当時は財政状況を理由に協議が中断されました。
しかし、現在、ふるさと納税の増収など財政面に一定の余裕が見られる今こそ、協議を再開すべきです。
まずは、体育館の断熱性調査を実施し、その結果をもとに整備計画の策定へと進める必要があります。
また、体育館のように電力消費が大きくなる施設では、平時・災害時双方を見据えたエネルギー対策が重要です。そこで、災害時にも対応できるLPガス併用(ハイブリッド型)の換気型エアコンの導入を提案しています。
さらに、将来的にはカーボンニュートラルLPガスやグリーンLPガスに切り替えることで、CO₂排出を削減し、「ゼロカーボンシティ」に寄与する提案により、脱炭素先行地域の選定の可能性も十分あり、「地域脱炭素移行・省エネ推進交付金」受けることができることを期待します。
6.部活動中の落雷事故に対応を要請
宮崎・奈良で相次いだ落雷事故を受け、私は教育委員会に対し、部活動や学校行事における教職員のリスク判断と安全指導の徹底を要請。
さらに、町営グラウンド利用団体にも同様の注意喚起を求め、落雷探知センサー導入の検討を提言。
7.「校内」教育支援センターの設置で教室復帰をサポート
現在、不登校傾向にある児童生徒を支援する教育支援センター「フレンドリー広場」は、週3日、午前11時から午後3時までの開所にとどまっています。
そのため、実際に「教室復帰」のための継続的・効果的な支援が行われているのかについては、大きな疑問が残ります。
不登校傾向にある児童生徒が、安心して学校という環境の中で過ごすには、限られた時間・曜日だけの対応では不十分であり、一人ひとりのペースに寄り添った学習サポートや相談体制、リラックスできる環境づくりが必要です。
こうした支援体制を強化するためには、各小中学校に「校内教育支援センター」を開室し、日常的に学校生活への不安を軽減しながら、段階的に教室復帰につなげていく支援の場を確保することが不可欠です。
学校内に居場所と学びの場を確保することで、児童生徒の自信や安心感を育み、将来的な自立にもつながる支援の実現を目指すべきです。
8.外国語・プログラミング教育の推進
― 日出町の未来をひらく“次世代の学び” ―
近年、都市部では海外とつながるオンライン授業や、企業によるプログラミング講座、AIドリルを活用した学習など、先進的な教育が広がっています。一方、地方では専門の指導者不足や授業準備の負担が大きく、同じレベルの学習機会を提供することが難しい現状があります。
私は、日出町の子どもたちが将来どこでも活躍できる力を育めるよう、先進地に学び、次の6つの柱で教育環境を大きくアップデートしていく必要があると考えています。
● オンライン活用で専門性の高い授業を提供
ネイティブ講師のオンライン英会話や、外部講師によるプログラミング授業を町が一括契約し、全校で受講。
●ICT支援員の体制を強化
学校に常駐できる支援員を増やし、教員と子どもたちがICTを“日常的に使える”環境整備。
● 企業・大学と連携したSTEAM(※)学習
ロボット制作、AI体験講座、夏のSTEAMキャンプなど、実際に手を動かす学びの推進。
●AIによる学習支援で「分かる」を実感
AIドリルや習熟度分析を導入し、一人ひとりに合った学習を実現。
● 学校外の学びも正しく評価へ
オンライン学習や教育支援センターの利用が出席扱いとなる基準を明確化により、どんな状況の子どもも学びを続けられる環境づくり。
● 英語とプログラミングの底上げ
低学年から英語に触れる活動やオンライン交流、中学生の英検補助、町独自のプログラミング到達目標の整備。
これらの「未来につながる教育環境」の実現に向け、積極的かつ大胆な予算措置を町に求めていきます。
9. AI技術を活用した学習支援の導入
― 子ども一人ひとりに寄り添う“新しい学び”を日出町に ―
全国では、AIを活用して子ども一人ひとりに合わせた学習を行う取り組みが広がり始めています。
AIが学習のつまずきを自動で分析し、必要な問題を提示したり、子どもが24時間いつでも質問できる環境を整えたりするなど、学びの質そのものが変わりつつあります。
都市部だけでなく、地方でも教員不足や個別指導の難しさを補う手段として注目されており、教育格差の解消にもつながる可能性があります。
日出町でも、こうした流れを踏まえ、次のようなAI活用を進めることが重要だと考えています。
- AIドリルを活用し、理解度や学習ペースに応じた個別学習を実現すること(不登校の子どもの学び直しにも活用)
- AIに質問できる仕組みを整え、子どもが自分のペースで疑問を解消できる環境をつくること
- 採点や教材準備の自動化などにより、教員の負担を減らし、子どもと向き合う時間を増やすこと
- ICT・プログラミング教育と連動させ、ロボット教材やアプリ制作など実践的な学びを広げること
AIの導入は、機械に教育を任せるという意味ではなく、教員がより丁寧に子どもに寄り添うための「教育の質を高める道具」です。これらの取り組みを段階的に進めることで、日出町の子どもたちが「わかる・できる」を実感しながら学べる環境を整え、都市部にも負けない、未来に開かれた教育を実現していきます。
