一方で、「土葬を全国一律で認めるとか禁止する」というような、埋葬方法を細かく規定している法律ではありません。
実際に条文を見ても、墓地の経営や埋葬・改葬にも市町村長の許可を必要とし、最終的な判断の権限は、市町村長に与えられています。
つまりこの法律は、
国が一律に結論を出す仕組みではなく、地域の実情に応じて判断することを前提に設計された法律です。
そして最も重要なのは、
条例で具体的に中身を定めることを禁止していないという点です。
今回、事務局を通じて中津市議会事務局に照会し、中津市環境政策課に単身訪問。
▶他の市町村とは異なり、あえて「施行条例」としている理由
▶どういった議論の末「埋葬禁止区域」の指定や「埋葬を焼骨のみ」規定するに至ったのか
▶実際の運用
についてお話を伺いました。
○墓地、埋葬等に関する法律施行条例
(埋葬禁止地域)
第9条 市長は、公衆衛生その他公共の福祉を維持するために埋葬(法第2条第1項に規定する埋葬をいう。)を禁止する地域(次項において「埋葬禁止地域」という。)を指定することができる。
2 埋葬禁止地域においては、焼骨その他規則で定めるもの以外のものを埋蔵してはならない。
○墓地、埋葬等に関する法律施行細則
(埋葬禁止地域)
第10条 条例第9条第1項の規定による埋葬禁止地域は、市内全域とする。
2 条例第9条第2項に規定する規則で定めるものは、遺品、副葬品その他周辺の環境を汚染するおそれがないと市長が認めるものとする。
条例で「公衆衛生その他公共の福祉を維持するため、埋葬禁止地域を指定できる」と定め、細則で「埋葬禁止地域は市内全域とする」と規定しています。
これは国の法律に反しているわけではなく、むしろ、法律が市町村に委ねた判断を、条例と細則で明確にしているということです。
したがって論点は、
「上位法があるからできないという問題ではなく、上位法が委ねている範囲について、日出町として明文化する意思があるかどうか」という問題だ考えています。
「法律が枠を示し、市町村が地域の実情に応じた具体的な内容を定める」という、その役割分担の中で町としてどう整理するのか。
それが今回の本質だと思っています。
トップの判断に任せ続けるのか
また、安部町長は、
「公共の福祉や公衆衛生などを見て、その時のトップが判断すべきだ」と発言しています。
確かに柔軟さは大事ですが、制度がなければ判断はどうしても人に依存することになります。
事実、日出町ではトップが代わることで180度方向性が変わっています。
一方で、中津市は制度で整理しているからこそ、トップが代わっても仕組みは変わらないという事実があります。
日出町でも将来に向けて、トップの判断ではなく、制度で安定させるべきだと考えています。
個人の自由と地域全体の責任
また、安部町長は、
「憲法上の個人の自由や宗教的配慮から、火葬条例には慎重であるべきだ」と発言しています。
確かに、信仰や埋葬に関する思いは尊重されるべきであり、そこを否定するつもりはありません。
しかし、埋葬は私的な行為であるだけでなく、土地利用や公衆衛生、周辺環境に影響を及ぼす行為でもあります。
だからこそ法律は、市町村長の許可制にしているのであります。
問題は、自由か規制かという対立ではなく、どう整理するのかという行政の責任だと考えています。
すでに町内には、現行制度のもとで土葬が認められてきた事例もありますが、では今後はどうするのか。同じような申請があったとき、どう判断するのか。
何も基準がなければ、
「前は認めたのに、なぜ今回は違うのか」
という疑問が生じて、そのたびにトップの判断に委ねることになります。
「既存のものは既存のものとして整理し、将来については町としての考え方を明確にする」
まさに、その線引きを制度として示すことが、行政の責任だと思っています。
自由を守るためにも、地域全体の安心を守るためにも、判断の枠組みを明らかにすることが必要であります。
それを個人の裁量に委ね続けるのか。それとも町として明文化するのか。
私はその姿勢を安部町長に問い質したいと考えています。