
SDGs未来都市は、地方創生の達成に向け、SDGsの理念に沿った取り組みを推進する都市の中から、特に「経済」・「社会」・「環境」の三側面の相乗効果と新しい価値の創出を通じて、持続可能なまちづくりに取り組む地方自治体を対象に、国(内閣府)から選定されるものです。
令和7年度は当町を含む全国9自治体が選定され、令和7年6月23日に発表されました。これまで全国で累計216自治体が選定されており、大分県内では2番目となります。
今回、私が令和7年3月定例会の一般質問で取り上げたSDGs未来都市👉への挑戦が実現し、選定されたことは大変喜ばしいことであり、持続可能なまちづくりに向けた大きな追い風であると考えています。
本町では、これまで、令和6年10月の「日出町SDGs推進宣言👉」、12月の「ゼロカーボンシティ宣言👉」に見るように、主に理念の共有や啓発に取り組んできましたが、今後は、未来都市に選定されたことで、町民の皆さんが実際にその成果を実感できるような、「経済・社会・環境を統合する事業」が展開されていくと大いに期待しています。
この制度は、ただの「名誉」ではなく、町の未来を動かすための強力なエンジンです。日出町が選ばれたことは、これからのまちづくりを加速させる大きなチャンスです。
SDGs未来都市にふさわしい実効性ある計画に
~大神漁港の再整備を起点に、新しい地域モデルの構築を~
日出町はこのたび、「SDGs未来都市」に選定されました。
この選定に基づき、「経済」「社会」「環境」の三つの側面を相乗的に発展させ、新しい価値を生み出す“持続可能なまちづくり”を進めていくことになります。
しかし、令和7年度に同時に選ばれた全国9自治体の中で、他の自治体が複数(最大10項目)の「第2世代交付金申請予定事業」を明記しているのに対し、日出町の計画では、理念や方向性の記述が中心で、具体的な申請予定事業はわずか一つ。その一つも内容が抽象的で、実効性に欠ける印象を受けました。
未来都市の選定は“名誉”ではなく“挑戦のスタート”です。せっかく国から選ばれたチャンスを生かすため、私は9月定例会の一般質問で、より具体的な事業構築と交付金獲得につながる取り組みを求めました。
計画の実効性をどう担保するのか
【森昭人質問】
現時点で、SDGs未来都市計画に基づいた交付金申請事業はあるのか。
【担当課長答弁】
既存事業の乗り換えも含めた事業構築を検討しており、選定の利点を最大限に生かせるよう、効率的・効果的な事業推進に努めたい。
【森昭人質問】
既存事業の「乗り換え」では消極的です。SDGs未来都市は、全国の見本となる挑戦的なモデルづくりが求められる。今後どのように計画を進め、まちづくりを推進していくのか。
【町長答弁】
自然環境豊かな日出町を後世に残す責務を果たすため、自然環境や景観の保全に留意した行政運営に努めたい。
(※本来、SDGs未来都市は「経済」「社会」「環境」の三側面の相乗効果を目指すものであり、やや一面的な答弁にとどまりました。)
【副町長答弁】
今後、国に事業を申請するにあたって、新たな事業も含めて日出町の発展に役立つ取組を役場を挙げて検討し、しっかり国に申請していきたい。
大神漁港の再整備を「挑戦的モデル事業」に

私は、計画に掲げられた「稼げる一次産業と持続可能な地域経済の定着」「ガストロノミーツーリズム(地域ならではの食文化体験を通じた観光振興)」に注目し、水産業の振興策として「大神漁港の再整備」を新たなモデル事業として検討すべきだと考えています。
現町長が議員時代に語った“熱い言葉”を、いまこそ実現へ
そして、現町長が議員時代に前町長へ投げかけた、次の発言をあらためて引用しました。
「日出町の漁業は危機に瀕している」
「日出町の漁業を復活させようとする熱意と覚悟はあるか」
「北海道猿払村のように、1年分の税収を3年間にわたって投入するような思い切った政策を実行できるか」
「その町長の姿勢にこそ日出町の漁業の将来がかかっている」
この発言は、単なるやり取りではなく、町の水産業政策を実行に移す覚悟を問うものでした。
いま、町長としてその熱い思いを形にしていただきたい――その願いを込めて、私は「大神漁港の再整備」を町長の水産業振興の目玉事業に据えるよう提案しました。
提案する新たな漁業モデル👉
まず大神漁港再整備協議会(仮称)の設置を
【担当課長答弁】
大神漁港は、漁業拠点としてだけでなく、糸ケ浜海浜公園や回天記念公園を核とする大神地域全体の活性化の要でもあり、重要な施設です。ただし、築約50年が経過した魚市場は老朽化が進み、組合員も15年前の半数に減少、その多くが60代以上。
持続可能な漁港・水産業の維持発展を考えると、今こそSDGs関連事業や「海業(うみぎょう)」の導入を検討し、総合的な再整備を進めるべき時期だと考えている。
【森昭人質問】
まずは、SDGs未来都市計画にある推進委員会、産学官金連携のプラットフォームで『大神漁港の再整備』を協議し、その上で『大神漁港再整備協議会(仮)』を設置していただきたい。
【担当課長答弁】
大神漁港の再整備は、大神の活性化、ひいては日出町の元気につながると考える。一次産業を元気にという考えだと思っているので、漁業者や県漁協の意見を広く聴取し、関係機関や既存団体との連携を取りながら、まずは話し合いの場の立ち上げを検討したい。
【町長答弁】
箱物整備には多額の費用がかかるため、まずは、森議員ご提案のように協議会を立ち上げ、町民の皆さんとともに本当に必要かを検討し、必要であれば整備を進めたい。
◆ 提言の方向性
大神漁港は、地域の誇りであり、将来の経済・観光・文化を支えるポテンシャルを秘めた拠点です。
今こそ、SDGs未来都市・日出町の象徴的プロジェクトとして、再整備の検討を本格化させるべきだと考えています。
私はこれからも、町民の皆さんとともに、日出町の未来を形にする議論を重ねてまいります。
※補足
「第2世代交付金」とは、SDGs未来都市に選定された自治体に対し、国が重点的に支援する先導的モデル事業への補助制度です。
